カントの道徳観の全体像 第57話
〈特に想定している方〉
・学問(特に哲学)に興味がある方
・自分の「道徳観」について考えたことがない方
・善悪の明確な判断基準がない方
こんにちは!!
今日はいよいよ本題のイマヌエル・カントの「道徳観」について扱おうと思います。
迷いを無くし、道を踏み外さないために必要な道徳観。
自身の道徳観を深めるためにも哲学者の洞察を参考にし視野を広げていきましょう!!
今回カントの道徳観を参照するにあたり重要なキーワードは
①「動機」
②「定言命法」
③「道徳法則」です!
ひとつひとつ確認していきましょう!
1.動機
動機とは何でしょうか。
動機とは、「行為」を誘発させるものです。
就活でよく言われる「このような動機があり、御社を志望しました。」みたいなやつです。
志望という「行動」を促すものが「動機」です!
つまり、動機→行動という順番になります。
では行動の先には何があるのでしょうか?
「結果」があります。
志望という「行動」の先には、採用等の「結果」があります。
動機→行動→結果という順番なんですね。
思想史において、
「動機」から道徳を導くタイプと
「結果」から道徳を導くタイプがいます。
後者は結果として「最大多数の最大幸福」をもたらすものが「道徳的」とします。
嘘をつくという「行動」が、幸せになるという「結果」に繋がれば道徳的なのです。
これをカントは明確に否定します。
嘘をついてはいけないという「動機」のもと行動するから道徳的というのです。
これを次で詳しく見ていきましょう!
2.定言命法
カントは「道徳法則への尊敬」を「動機」と位置づけます。そしてその命令に従うことを「義務」と呼びます。という説明がよくされます。
これはどういうことなのか?
人間は自由意志を持っており、ときに「悪」に走ることがあります。
そのため、自分で自分に「命令」をし悪いことをしないようにする必要があるでしょう。
これを「命法」と呼びます。
名言には2種類あります。
1個目は「仮言命法」。とある目的に対しての手段としての命法です。
例えば、信頼を得るために嘘をついてはいけない。ということです。
つまり「命法」に条件が付けられているのです。
2つ目はサブタイトルにある「定言命法」です。
これは無条件です。嘘がダメというならいついかなる時も嘘はダメなのです。
決して例外を許容しないのです。
なぜでしょうか?
次にヒントがあります。
3.道徳法則
「法則」というのは普遍的=いついかなる状態でも当てはまるものです。
カントは道徳に「法則性」を求めます。そのようなわけで例外を許さないのです。
個々人が有する行為の原則(俺はこうするんだ!)というのを「格率」と呼びます。
この主観的な「格率」が客観的な法則である「道徳法則」に合致するよう行動するべきとカントは述べます。
「汝の意志の格率が常に同時に普遍的な法則として妥当しうるように行為せよ」
このセリフは上記のことを表しているのです。
つまりカントは「絶対的な道徳法則」が道徳たりうるという立場を取ります。
利益を得るために親切にするということは道徳的ではないのです。
4.まとめ
突然ですが質問です!
あなたの友達は彼氏とラブラブ。とても幸せそうです。しかし友達の彼氏が隠れて浮気していることが判明していました。あなたは友達に「私の彼氏って浮気してるのかな?」と聞かれた際、真実を答えますか?それとも嘘をつきますか?
これを明らかにすることで、あなたの立場がわかるかと思います。
功利主義的な立場を取るのか、それともカント的な立場を取るのか。
この辺で今日は終了致します。
読んでくださりありがとうございました!!